まちこの部屋

聖なるあきらめ

もしも、彼だったら?(もう一人)

私が「もしも、彼だったら?」と思う人が、もう一人います。
それは、息子を迎えに行った警察の捜査員のYさんです。


亡くなった場所が、自然豊かな田舎の僻地だったし、車の免許を持っていない私は、何回も電車を乗り継ぎ現地に向かいました。


署内で、説明を受け遺品を見せてくれる時も、大事そうに両手の手のひらにのせて一つ一つ、丁寧に説明して下さいました。


しかも、ご本人は「たまたま当直だから」と言って、棺を出す時にも
翌日いて下さいましたが、たまたまではなく「担当した案件だから最後まで」当直を代わってくれたようです。


また、葬儀屋さんにも「県外の方だから、帰りのタクシーも予約してあげて。でも、この事は私が言ったと言わないで。気を使わせたくないから」(結局、葬儀屋さんはばらしてしまいましたが)


また、最後に「酷なようですが、ずっと失踪して何年も見つからず、心配をし続けているご家族も、たくさんいらっしゃいます。お母さんの元に戻れて本当によかった」と声を詰まらせて慰めて下さいました。


自分は仕事でも、話の通じない患者さんに「ですからぁ~」と、きつい物言いをする事があります。


Yさんと出会ってから、患者さんと接する時に「もしも、彼だったら?」と考えるようになりました。

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