麗美「星のクライマー」
私は高校生の頃、麗美というミュージシャンが大好きでした。松任谷夫妻が、惚れ込んで完全バックアップしたLPレコードを繰り返し聴いていました。
中でも「星のクライマー」は、すごく心に残っています。
これは、冒険家の植村直己さんがマッキンリーで消息を絶った後、追悼の気持ちを込めて作られた曲です。
植村さんが消息を絶った時に、友人と次のような会話をした事をよく覚えています。
「植村さんを誰も助けに行ってあげないの?」
「え?だって誰も行った事のない所に行くから冒険家なんじゃん。助けに行けるなら、冒険家じゃないよ」
「じゃあ、生きているかもしれないよ。」
「だとしても、消息絶っているから仕方ないよね」
「亡くなっていたら、遺体はどうするの?」
「そのままだろうね」
「そのままっていつまで?」
「ずっとだよ。誰も発見できない。新たに
マッキンリーに誰かが冒険に行って、たまたま見つけてっていう事が何百年後に起こればって感じ?」
息子が亡くなった事が分かった時に、何故だか、この曲が頭にリフレインしました。
彼は、「星のクライマー」になり、「ザイルを空にかけた」のです。
夜空を見て、彼を探す毎日です。