スパイ
私はスパイ映画が大好きなんです。
スパイ映画を観ると分かりますが、世界各国に画面が次々変わります。
海外旅行は一回しか行った事のない私は、
そういう映像も好きですし、危機的状況を瞬時に判断する様子も好きなのです。
私は看護師になった最初の勤務場所が、NICU (新生児、未熟児集中治療室)でした。
モニターだらけの中で、500グラムくらいの赤ちゃんのケアは、非常に神経をすり減らし、万年寝不足でした。
だから、他の人は「看護師だし、なんでも患者さんの事はできるよね。安心だね」と思われるかもしれませんが、私は危機的状況になると凍りついてしまいます。
話を戻します。
亡くなった次男に私はよく「あんた、スパイになるといいよ。英語は出来るし、クロスカントリーやってるから体力あるし、何より道に迷わないし」と、とんちんかんな事をよくいいました。
聞き苦しい親バカですが、ルービックキューブも小さい頃から秒殺で出来ていました。
地図を見ると航空写真のように見えると言っていました。
多分、一種の発達障害傾向があったのでしょう。
スパイの話をすると「あ~俺は無理だわ。何しろ怖いの嫌いだもん。『秘密を吐け❗』と言われて拷問にかけられたら、その時点で怖くて心臓が止まるわ」と言っていました。
だから、捜索願いを警察に出した時に「自殺の可能性はないですか?」と聞かれて「それはないです。非常に怖がりですから。」と答えました。
でも、その時にはもうこの世にはいなかったのです。
気づいてあげられなかった悲しみを、スパイ映画を見るたび思い出します。