まちこの部屋

聖なるあきらめ

終末のフール

伊坂幸太郎さんの作品が、とにかく好きです。

先日読んだ「終末のフール」という作品で、いじめで自殺しようとした息子をすんでのところで止めた両親のセリフに感動しました。

母は「私がそいつらを殺してやるからお前は死んじゃだめだ」と言います。

父は「自殺しちゃいけねえ理由なんか知らねえよ、バーカ。とにかく絶対死ぬんじゃねえぞ。あのな、恐る恐る人生の山を登ってきて、つらいし怖いし、疲れたから、もと来た道をそろそろ帰ろうかな、なんてことは無理なんだよ。登るしかねえじゃねえか。何様なんだよ。お前は。俺は登ったらどうですか、なんてことを言ってるんじゃねえんだよ。登れる限り登れって命令してんだ。それにな、多分、登りきったらな、山の頂上からの景色はきっと格別だぞ」と言います。

(ちなみにこれは、だいぶ前に刊行された本ですが、今のコロナ禍を見越したような設定ですごくよい小説でした)

伊坂さんの作品は、とにかく登場人物に言わせる言葉が秀逸です。

私の中では「元気の出ない時の伊坂幸太郎」に最近なっています。

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